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後継者がいないときの選択肢と、最初の一歩
後継者がいない会社は全国で約半分です。親族・社員・第三者・廃業の4つの道と、何年前から準備するか、相談先の違いをまとめました。
確認 2026-10-05
後継者がいない会社は、全国で約半分
「継ぐ人がいない」と悩む社長は、決して少なくありません。帝国データバンクの2025年の調査では、後継者がいない会社は50.1%でした(全国「後継者不在率」動向調査)。
この割合は7年続けて下がっています。それでも、2社に1社は後継者が決まっていません。
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 後継者不在率(全体、2025年) | 50.1% | 帝国データバンク |
| 中小企業 | 51.2% | 帝国データバンク |
| 小規模企業 | 57.3% | 帝国データバンク |
| 社長が50代の会社 | 58.3% | 帝国データバンク |
| 社長が80代以上の会社 | 22.2% | 帝国データバンク |
| 社長の平均年齢(2025年) | 63.81歳(過去最高) | 東京商工リサーチ |
| 社長が70代以上の会社の割合 | 34.7% | 東京商工リサーチ |
帝国データバンクは、後継者候補がいたのに白紙に戻った会社も数えています。社長が70代で3.3%、80代以上で4.7%でした。80代以上のほうが、70代より高い割合でした。
後継者がいないのは、多くの会社に共通する悩みです。恥ずかしいことではなく、早めに手を打てる課題です。
4つの選択肢
後継者がいないときの道は、大きく4つです。中小企業庁の「事業承継ガイドライン」も、この分け方で整理しています(事業承継ガイドライン第3版)。
| 選択肢 | 誰が継ぐか | 良い点 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 親族への承継 | 子どもや親族 | 社内外に受け入れられやすい | 本人の意思と、育てる時間が要る |
| 社員への承継 | 役員や従業員 | 仕事と会社をよく知っている | 株を買うお金、親族の株主の了解、個人保証 |
| 第三者への承継(M&A) | 外の会社や個人 | 身近にいなくても、広く相手を探せる | 相手探しの時間と、支援機関への手数料 |
| 廃業 | 継がない | 自分の判断で終わりを決められる | 従業員と取引先との関係が終わる |
親族への承継
昔は、親族が継ぐのが当たり前でした。今は減っていて、中小企業庁の2015年の調査では、直近5年の交代のうち約35%です(事業承継ガイドライン第3版)。
後継者にとっては、社長の個人保証を引き継ぐかどうかが負担になります。ガイドラインも、この点に注意するよう書いています。
社員への承継
ガイドラインによると、社員への承継は近年増えています。会社をよく知る人が継ぐので、方針を保ちやすいのが良い点です。
一方で、社員が株を買うお金をどう用意するかが課題になります。親族の株主に早めに了解を得ておくことも大切です。
第三者への承継(M&A)
親族にも社内にも適任者がいなければ、外に相手を探せます。社長は会社を売った代金を受け取れます(事業承継ガイドライン第3版)。
公的な事業承継・引継ぎ支援センターでの第三者承継の成約は、令和7年度に2,265件でした。過去最多です(中小機構 2026年5月29日)。
廃業
継がずに会社をたたむ道です。会社法の手続きだけで2か月以上かかり、従業員や取引先への説明も要ります。
費用と手順は、別の記事「廃業か、売却か。会社をたたむ前に比べること」で詳しく書いています。
何年前から準備するか
事業承継ガイドラインは、準備を始める時期を次のように書いています。
- 社長の平均的な引退年齢は70歳前後
- そのため、概ね60歳頃には準備を始めるのが望ましい
- すでに60歳を超えていれば、すぐ身近な支援機関に相談する
- 70歳を超えていれば、すぐにでも準備を始める
後継者を決めてから引き継ぎ終わるまでに、3年以上かかる会社が半数を超えます。10年以上かかる会社も少なくありません(同ガイドライン)。
| 選択肢 | 準備の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 親族・社員への承継 | 後継者を決めてから3年以上が半数超。10年以上もある | 事業承継ガイドライン第3版 |
| 第三者への承継 | 相手が見つかる時期は読めない。資金に余裕のあるうちに動く | 中小M&Aガイドライン第3版 |
| 廃業 | 清算の手続きだけで2か月以上。解雇の予告は30日前まで | 会社法第499条、労働基準法第20条 |
中小M&Aガイドラインには、着手が遅れて資金が尽き、売れずに廃業した例が載っています(中小M&Aガイドライン第3版)。解雇予告の30日は、厚生労働省の解説によります(確かめよう労働条件)。
準備を先に延ばすほど、選べる道は減っていきます。迷っている段階で相談してかまいません。
相談先の違い
相談先によって、得意なことと費用が違います。最初の相談先として、それぞれの特徴を比べます。
| 相談先 | 主にしてくれること | 費用 |
|---|---|---|
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 親族・社員・第三者・廃業まで、承継のあらゆる相談。相手探しや民間機関の紹介 | 相談は無料。紹介された民間機関の支援は有償 |
| 税理士 | 決算書の整理、株の評価、承継にかかる税金の相談 | 事務所ごとに違う |
| 金融機関 | 借入や個人保証の扱いの相談。事業承継のサービスを持つところもある | 金融機関ごとに違う |
| 仲介会社・FA | 買い手探しから条件の交渉、契約まで | 成功報酬など。大手は最低報酬2,000万〜2,500万円の例 |
事業承継・引継ぎ支援センター
国が47都道府県に設けた、公的な相談窓口です。親族や社員への承継も含め、事業承継のあらゆる相談に応じると公式サイトに書かれています(事業承継・引継ぎポータル)。
令和7年度の実績は次のとおりです(中小機構 2026年5月29日)。
- 新規の相談者:24,000者超(過去最多)
- 第三者承継の相談者:16,322者
- 第三者承継の成約:2,265件
- 親族内承継の支援完了:1,903件
- 後継者人材バンク(継ぎたい人と会社を結ぶ仕組み)の成約:114件
センターの詳しい中身は、事業承継・引継ぎ支援センターのページにまとめています。
税理士
いつもの顧問税理士は、会社の数字を一番よく知る相談相手です。株の値段や、承継にかかる税金の見通しを相談できます。
個別の税金の相談を仕事として受けられるのは、原則として税理士です(税理士法第52条)。具体的な税額は、税理士に確かめてください。
金融機関
借入がある会社では、取引先の金融機関に早めに話すことが大切です。承継のとき、先代の個人保証をどうするかが問題になることがあります(事業承継ガイドライン第3版)。
事業承継のサービスを持つ金融機関もあります。ガイドラインも、その利用を選択肢の一つに挙げています。
仲介会社・FA
仲介会社は売り手と買い手の両方を、FAは依頼した側だけを支援します。どちらも成功報酬などの費用がかかります。大手には最低報酬を2,000万〜2,500万円とする会社があります(M&A総合研究所、fundbook)。
違いは仲介とFAの違いで、手数料は手数料の計算で比べられます。IT企業の相談先はIT企業の売却の相談先にまとめています。
最初の一歩
何から始めればよいか迷ったら、次の順で進めてください。
- [ ] 引退したい年を、おおよそ決める
- [ ] 直近の決算書、借入の残り、個人保証の一覧をそろえる
- [ ] 親族や社員に、継ぐ気持ちがあるかを確かめる
- [ ] 引継ぎ支援センターか顧問税理士に、まず話を聞いてもらう
- [ ] 売却も考えるなら、相談先を少数に絞って比べる
会社を売る話が早い段階で広まると、取引先や従業員が不安になることがあります。中小M&Aガイドラインには、情報が漏れて売却が成り立たなかった例も載っています。
複数の支援機関が同時に買い手探しをすると、情報が必要以上に外に出るおそれがあります。ガイドラインもこの点を注意しています。最初の比較は、社名を出さずに始めてください。
相談について
当サイトは、売却の申込みを受け付けていません。どこに相談すればよいか迷ったら、LINEで聞いてください。
担当者が読んで返信します。社名を書く必要はなく、売り込みもしません。
LINEで相談するどこに相談すればいいか、手数料はいくらか。社名を出さずにLINEで聞けます。
LINEで友だち追加担当者が内容を読んで返信します。売り込みや営業電話はしません。相談内容を相談先に伝えるのは、ご本人が希望し、伝える先と内容に同意した場合だけです。情報の取扱い