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M&A仲介の手数料のしくみ:最低報酬とレーマン方式の落とし穴
同じレーマン方式でも、料率を掛ける金額と最低報酬で手数料は大きく変わります。掲載会社の料金表で計算しました。
確認 2026-10-04
目次(7項目)
手数料は4つに分かれる
M&A仲介の手数料は、払うタイミングで4つに分かれます。どれがかかるかは会社ごとに違います。
| 名前 | 払うとき | 掲載会社の例(売り手側・税別) |
|---|---|---|
| 相談料 | 最初の相談 | 掲載会社の多くは無料 |
| 着手金 | 依頼の契約をしたとき | 日本M&Aセンター100万円から、コルウスパートナーズ100万円、名南M&A60万円から、オンデック(資料作成料)30万円 |
| 中間金 | 買い手と大筋で合意したとき(基本合意) | M&Aベストパートナーズ250万円か成功報酬の10%、M&Aキャピタルパートナーズ総額の約10%、ストライク100万円(資産総額10億円以下) |
| 成功報酬 | 最終契約のとき、または代金の決済のとき | レーマン方式で計算し、最低報酬がある |
成功報酬を払う時期も会社で違います。日本M&Aセンターは最終契約の締結時、インテグループは決済が終わったときだけと書いています(日本M&Aセンター、インテグループ)。
レーマン方式と最低報酬
レーマン方式とは
レーマン方式は、金額を区切って、区切りごとに違う料率を掛ける方法です。多くの会社が次の料率を使っています。
| 計算のもとになる金額 | 料率 |
|---|---|
| 5億円以下の部分 | 5% |
| 5億円超〜10億円以下の部分 | 4% |
| 10億円超〜50億円以下の部分 | 3% |
| 50億円超〜100億円以下の部分 | 2% |
| 100億円超の部分 | 1% |
たとえば6億円なら、5億円×5%=2,500万円と、1億円×4%=400万円を足して2,900万円です。
最低報酬が先に効く
料率で計算した額が最低報酬より小さいと、最低報酬を払います。大手の最低報酬は2,000万〜2,500万円です。
- 譲渡額1億円なら、5%は500万円。最低報酬が2,000万円なら2,000万円を払う
- このとき成功報酬は譲渡額の20%になる
- ストライクの料金表は「4億円以下の部分は一律2,000万円」
- fundbookの料金表は「5億円以下の部分は一律2,500万円」
中小企業庁の資料では、譲渡額1,000万円以下の案件で、手数料率の中央値が約100%でした(中小企業庁、グラフからの読み取り)。当サイトがグラフから読んだ値なので、目安として見てください。
料率で計算した額が最低報酬を下回る間は、最低報酬で成功報酬が決まります。掲載会社の料金表では、譲渡額1億円ならほぼすべてがこの範囲でした。最低報酬の額と、ほかの費用を合わせて比べてください。
何に料率を掛けるか(計算のもと)
同じレーマン方式でも、料率を掛ける金額が会社で違います。これが手数料の差のもう一つの原因です。
| 計算のもと | 中身 | 掲載会社の例 |
|---|---|---|
| 株式の譲渡額 | 買い手が株に払う金額 | インテグループ、M&Aキャピタルパートナーズ、M&A総合研究所、M&Aロイヤルアドバイザリー、ウィルゲート |
| 企業価値 | 株式の譲渡額+借入金などの有利子負債 | ファイブ・アンド・ミライアソシエイツの事業再生M&A |
| 移動総資産(時価総資産) | 株式の譲渡額+負債の総額。会社が持つ資産の総額にあたる | 日本M&Aセンター、fundbook、名南M&A |
移動総資産が大きくなる理由は、こう考えると分かります。買い手が手に入れる資産には、株の代金の分だけでなく、借入金や買掛金でまかなわれている分も含まれます。その分だけ、計算のもとが大きくなります。
「株式の譲渡額」の会社でも、何を足すかに違いがあります。役員退職金で受け取る分も、計算のもとに入ることがあります。
- ストライク:「オーナー受取額」が基準。役員退職金、オーナーからの借入金、譲渡のときの配当金・自己株式の取得代金を含む(報酬・料金体系)
- オンデック:時価純資産(≒譲渡額)に、役員退職慰労金や引継ぎ期間の顧問報酬を足す(報酬体系)
- コルウスパートナーズ:売買価格に役員退職慰労金を含む(料金体系)
計算例1:譲渡額1億円・負債6,000万円の会社【試算】
前提は、負債6,000万円のうち借入金が4,000万円、買掛金などが2,000万円の会社です。まず、最低報酬を考えずに5%を掛けます。
| 計算のもと | 金額 | 5%を掛けると |
|---|---|---|
| 株式の譲渡額 | 1億円 | 500万円 |
| 企業価値 | 1億円+借入金4,000万円=1億4,000万円 | 700万円 |
| 移動総資産 | 1億円+負債6,000万円=1億6,000万円 | 800万円 |
計算のもとが違うだけで、最大300万円の差が出ます。ただ、実際の会社の料金表には最低報酬があります。各社の公式の料金表で計算し直すと次のとおりです。
表の金額は、公式の料金表から計算できた費用だけの合計です。記載のない費用や、条件で変わる費用は含みません。支援の範囲も会社ごとに違います。
| 会社 | 計算のもと | 売り手の手数料 | 譲渡額に対する割合 | 内訳 |
|---|---|---|---|---|
| ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ | 取引金額 | 530万円 | 5.3% | 1億円×5%+中間時30万円 |
| IT M&A支援センター | 取引価格 | 900万円 | 9.0% | 段階料率で800万円+成約基本料100万円 |
| M&Aサクシード | 譲渡対価 | 1,000万円 | 10.0% | 最低報酬(プラットフォーム) |
| コルウスパートナーズ | 売買価格 | 1,100万円 | 11.0% | 最低報酬+契約時100万円 |
| インテグループ | 株式価値 | 1,500万円 | 15.0% | 最低報酬 |
| M&Aベストパートナーズ | 株式価値 | 2,000万円 | 20.0% | 最低報酬(中間報酬は差し引き) |
| ウィルゲート | 譲渡対価 | 2,000万円 | 20.0% | 2億円以下の部分は一律2,000万円 |
| オンデック | 時価純資産 | 2,030万円 | 20.3% | 最低報酬+資料作成料30万円 |
| 名南M&A | 移動総資産 | 2,060万円 | 20.6% | 最低報酬+着手金60万円 |
| ストライク | オーナー受取額 | 2,100万円 | 21.0% | 一律2,000万円+基本合意報酬100万円(資産総額10億円以下の場合) |
| 日本M&Aセンター | 時価総資産 | 2,100万円 | 21.0% | 最低報酬+着手金100万円 |
| M&A総合研究所 | 譲渡価格 | 2,500万円 | 25.0% | 最低報酬 |
| fundbook | 時価総資産 | 2,500万円 | 25.0% | 5億円以下の部分は一律2,500万円 |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 株式価額 | 2,500万円 | 25.0% | 最低報酬(公式に記載がなく、登録DBの値) |
すべて税別の目安です。着手金は、簿価の総資産が日本M&Aセンターは2億円以下、名南M&Aは5億円以下の場合の額です。ストライクは役員退職金なども計算のもとに入りますが、ここでは株式の譲渡額だけを受け取る前提です。
譲渡額1億円の規模では、ほぼすべての会社が最低報酬で決まります。この範囲では、負債が多くても成功報酬は変わりません。差を生むのは、最低報酬の額とほかの費用です。
計算例2:譲渡額6億円・負債3億円の会社【試算】
譲渡額が大きくなると、計算のもとの差が表に出ます。負債の総額が3億円の会社で、成功報酬を比べます。
| 会社 | 計算のもと | 成功報酬 | 計算 | ほかにかかる費用 |
|---|---|---|---|---|
| インテグループ | 株式価値6億円 | 2,900万円 | 2,500万円+1億円×4% | なし |
| M&A総合研究所 | 譲渡価格6億円 | 2,900万円 | 2,500万円+1億円×4% | なし |
| ストライク | オーナー受取額6億円 | 2,900万円 | 2,000万円+1億円×5%+1億円×4% | 基本合意報酬100万円 |
| ウィルゲート | 譲渡対価6億円 | 3,900万円 | 2,000万円+3億円×5%+1億円×4% | なし |
| fundbook | 時価総資産9億円 | 4,100万円 | 2,500万円+4億円×4% | 合意により中間報酬の形もある |
| 日本M&Aセンター | 時価総資産9億円 | 4,100万円 | 2,500万円+4億円×4% | 着手金(簿価総資産2億円超10億円以下は200万円) |
| 名南M&A | 移動総資産9億円 | 4,100万円 | 2,500万円+4億円×4% | 着手金60万円から |
この例では、移動総資産で計算する会社が1,200万円高くなります【試算:3億円×4%】。料率で計算した額が最低報酬を超える範囲なので、負債の分が差として表に出ます。料率計算額が最低報酬に収まる規模なら、負債があっても差は出ません。
ストライクの場合は、役員退職金を受け取ればその分も計算のもとに入ります。
見落としやすい点
テール条項
契約が終わった後でも、その会社が紹介した相手と一定期間内に成約すると、報酬を払う決まりです。中小M&Aガイドラインは、次のような考え方を示しています(中小M&Aガイドライン第3版)。
- 期間は最長でも2〜3年以内を目安とするのが望ましい
- 対象は、社名を開示して紹介された相手に限るべき
- 社名を伏せた資料を見せただけの相手は、対象にすべきでない
これは支援機関に求める考え方で、個々の契約の効力を決めるものではありません。実際の契約書で、期間と対象の書き方を確かめてください。
着手金・中間金は戻るか
中間金は、成約すれば成功報酬に充てる会社があります。
- オンデック:基本合意報酬は「成約に至れば成功報酬に充当」
- M&Aベストパートナーズ:中間報酬を成功報酬から差し引く
一方、破談したときに着手金や中間金が戻るかは、今回確認した料金ページには書かれていませんでした。最後まで費用がかからない完全成功報酬を選ぶか、返金の条件を契約前に書面で確かめてください。
二重請求(プラットフォーム+仲介)
中小企業庁の資料には、中小企業からの声として次の記述があります。「プラットフォーム利用時に仲介/FAとは別に手数料を支払う必要があり、二重請求となることが分かりにくい」(中小企業庁)。
| サービス | 売り手の費用 |
|---|---|
| バトンズ | 株式譲渡では有料のプレミアムサポートが必須で、最低200万円。自分で進められる取引は無料 |
| M&Aサクシード | 成功報酬は譲渡対価の5%、最低1,000万円 |
| トランビ | 公式では売り手の利用料は無料(条件は利用規約)。登録DBには成功報酬「有」とあり、無料の範囲は未確認。仲介・FAを別に頼めば、その費用がかかる |
プラットフォームで見つけた相手との交渉を仲介会社に頼むと、両方の費用がかかることがあります。契約前に、合計でいくら払うかを確かめてください。
登録データベースと公式サイトの食い違い
中小企業庁の登録データベースの最低手数料と、公式サイトの料金表が一致しない会社があります。名南M&Aは登録DBで1,000万円、公式(2026年10月1日現在)で2,000万円です。ウィルゲートも登録DBは1,000万円、公式の料金表は2,000万円です。
実際の金額は契約書の定義で決まります。面談では、自社の数字で手数料を計算した書面をもらってください。
自分の数字で計算する
株式の譲渡額と負債を入れると、掲載会社ごとの手数料の目安を計算できます。手数料の計算を使ってください。中小企業庁の手数料の簡易計算(2026年4月20日公開)でも、計算のもとごとの成功報酬を出せます。
面談で聞くことは次のとおりです。
- 成功報酬の計算のもとは何か。役員退職金や借入金の返済は入るか
- 最低報酬はいくらか。登録データベースの額と違う場合、どちらが契約に入るか
- 着手金・中間金はいつ発生し、破談したら戻るか
- 成功報酬を払うのは最終契約のときか、決済のときか
- テール条項の期間と対象
仲介とFAで報酬の受け取り方がどう違うかは、仲介とFAの違いで説明しています。
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