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赤字・債務超過でも会社は売れるか

赤字や債務超過でも、技術・取引先・人材・許認可で買い手がつくことはあります。難しい場合、経営者保証の扱い、公的な窓口と再生の道まで。

確認 2026-10-04

目次(8項目)
  1. 結論:売れる場合はある。ただし時間との勝負
  2. 買い手が見ているのは数字だけではない
  3. 売れる形の例
  4. 売るのが難しい場合
  5. 経営者保証はどうなるか
  6. 公的な窓口と、再生の選択肢
  7. 動く順番(チェックリスト)
  8. 相談について

結論:売れる場合はある。ただし時間との勝負

赤字や債務超過でも、会社や事業が売れることはあります。債務超過とは、借金などの負債が、会社の資産より多い状態のことです。

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」は、次のように書いています(中小M&Aガイドライン第3版)。

ポイント

赤字だから無理、と最初からあきらめる必要はありません。ただし、お金が尽きる前に動くことが条件になります。

買い手が見ているのは数字だけではない

買い手が評価するもの

ガイドラインは、買い手が評価するのは決算書の数字に限らないと書いています。たとえば次のようなものです。

分類具体例
技術高い技術力、特許などの知的財産、ノウハウ
顧客優良な取引先とのつながりや商流、店舗網、業界内のシェア
人材腕のある社員
許認可・信用事業に必要な許認可、地域や業界での知名度・ブランド・信用、業歴
将来性事業の分野が伸びる見込み

社長にとっては当たり前すぎて、気づきにくい魅力もあります。ガイドラインは、そうした魅力を見つけるためにも、早めに支援機関へ相談するよう勧めています。

帳簿の債務超過と、実態の債務超過

帳簿の上では債務超過でも、資産と負債を今の値段に直すと、資産のほうが多い場合があります。ガイドラインはこの点を書いています。

たとえば、昔に買った土地の今の値段が、帳簿の値段より高い場合です。逆に、帳簿より値打ちが下がっている資産もあります。

見方中身
帳簿の上(簿価)決算書に書かれた金額で「資産−負債」を見る
実態(時価)資産と負債を今の値段に直して「資産−負債」を見る

ガイドラインで「債務超過」と言うときは、特に断りがなければ実態のほうを指します。

売れる形の例

会社全体をそのまま売るほかにも、方法があります。ガイドラインに書かれている主な形は次のとおりです。

形中身向いている場合
一部の事業だけを売る黒字の部門や店舗だけを、事業譲渡で売る会社全体は赤字でも、黒字の部門がある
社員や役員に事業を売るその事業に関わる社員や役員が引き継ぐ仕事をよく知る人がいて、引継ぎがしやすい
第二会社方式事業を別の会社に移し、元の会社は整理する借金の整理が必要な場合
買い手を決めてから法的整理買い手を先に決めてから、民事再生などを申し立てる法的整理が避けられない場合

ガイドラインは、会社全体では赤字でも、部門や店舗ごとに見ると黒字の事業を持つことも多いと書いています。一部の事業を売れば、社員の働く場所を残しやすくなります。残りをたたむ費用に、代金を回せる可能性もあります。

売るのが難しい場合

国のガイドラインに載っている例

売れなかった例や、売るのが難しかった例も、国のガイドラインに載っています。

安すぎる値段で売ってはいけない

債務超過の会社が事業を売るときは、値段にも注意が要ります。ガイドラインは、値段が不当に安いと、債権者から取り消しを求められるおそれがあるとしています。

ガイドラインは、破産したと仮定したときの価値を、相当程度上回る値段が求められると書いています。できる限り前もって説明し、債権者の了承を得ておくのが望ましい、ともしています。

借金を減らしてもらうと、税金がかかることがある

金融機関などに借金を減らしてもらうと、会社に「債務免除益」というもうけが出ます。このもうけに税金がかかり、返済の計画に響くことがあります。

ガイドラインは、減らす額が大きい場合は特に注意するよう書いています。過去の赤字(欠損金)で相殺できるかなど、税理士と確かめながら進めてください。

経営者保証はどうなるか

経営者保証とは

中小企業では、会社の借入を社長が個人で保証していることが多くあります。これを経営者保証と呼びます。

この扱いを定めた自主的なルールが「経営者保証に関するガイドライン」です。2013年12月に作られ、2014年2月から使われています(全国銀行協会 経営者保証ガイドライン)。

売れた場合:保証を外すか、買い手に移す

会社が売れても、社長の保証が自動で外れるわけではありません。中小M&Aガイドラインは、次の点を書いています。

事業承継のときの扱いを定めた「特則」もあります(事業承継時に焦点を当てた特則)。前の社長と後継者の両方から、二重に保証を取らないことを原則にしています。

売る前に保証を外す道もある

ガイドラインによると、売る前に会社の側で保証を外す取り組みをする方法もあります。経営者保証ガイドラインは、会社に次の3つを求めています(ガイドライン本文)。

求められること中身の例
会社と社長のお金を分ける役員報酬、配当、社長への貸付などを、常識的な範囲にとどめる
会社の財務を強くする業績を良くして、借入を返す力を高める
会社の状態を正しく伝える資産と負債(社長のものも含む)や事業計画を、金融機関に正確に示す

保証を外すことが売る主な理由なら、売る前にこの取り組みを進めることも考えられます。弁護士や、後で説明する中小企業活性化協議会への相談も役立つとされています。

借金が残る場合:保証人の負担を軽くするしくみ

会社をたたんで借金が残る場合でも、経営者保証ガイドラインを使える可能性があります。中小M&Aガイドラインによると、次のような方策を検討します。

使うには、会社の側でも借金を整理する手続きを取るなどの条件があります。廃業のときの考え方は廃業か、売却かにまとめています。

ポイント

保証の扱いは、売り方と同じくらい大切な条件です。最終契約の前に、弁護士に契約書を見てもらってください。

公的な窓口と、再生の選択肢

相談できる窓口

赤字や債務超過の会社が相談できる、公的な窓口があります。

窓口主にしてくれること費用
事業承継・引継ぎ支援センター売れる見込みを一緒に考える。相手探しや、民間の支援機関の紹介相談は無料。紹介された民間機関の支援は有償
中小企業活性化協議会金融機関との返済条件の見直しや、借金を減らす話し合いを支える各都道府県に設置
信用保証協会、日本政策金融公庫など資金繰りのための借入ができる場合がある条件は各窓口で確かめる

支援センターの費用は公式サイトの記載です(事業承継・引継ぎポータル)。活性化協議会と資金の窓口は、中小M&Aガイドラインの記述によります。支援センターの詳しい中身は事業承継・引継ぎ支援センターにまとめています。

借金の整理のしかた

借金の整理には、大きく分けて2つのやり方があります。ガイドラインは、できる限り私的整理を目指すのが望ましいとしています。下の表の「影響」も、ガイドラインの説明の要約です。どちらが合うかは、会社の状況を見て弁護士と決めてください。

やり方中身影響
私的整理裁判所を通さず、金融機関と話し合って返済の猶予や借金の減額を受ける官報などで公表されないため、事業や信用への影響を抑えやすいとされる
法的整理民事再生など、裁判所の手続きを使う。仕入先への借金も整理の対象になる事業と信用に一定の影響が出やすいとされる

私的整理は、活性化協議会や特定調停など、決まった手順のある場で進めるのが望ましいとされています。金融機関の団体は「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」も公表しています(全国銀行協会)。

動く順番(チェックリスト)

ガイドラインが弁護士などに求めている確認を、社長がやることに直しました。上から順に進めてください。

ガイドラインは、仕入代金や給料が払えていない場合は特に注意が必要だとしています。事業と信用が傷み始めているおそれがあるためです。相談先の種類は相談先診断で、手数料の目安は手数料の計算で絞れます。

相談について

当サイトは、売却の申込みを受け付けていません。どこに相談すればよいか迷ったら、LINEで聞いてください。

担当者が読んで返信します。社名を書く必要はなく、売り込みもしません。

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