はじめての方へ
会社を廃業する手続きと費用(解散・清算の流れ)
会社を畳むときの解散・清算の手続きを、法務局・税務署・年金事務所など窓口ごとに整理。登記と官報の費用、期限、個人事業主の廃業届まで。
確認 2026-10-04
はじめに:最短でも2か月以上かかる
会社を畳むには、「解散」と「清算」の2つの段階を踏みます。債権者が名乗り出るための期間を2か月以上取る決まりがあり、最短でもそれ以上かかります(会社法第499条)。
この記事は、手続きを窓口ごとに並べ、かかる費用を一覧にしたものです。売却と比べるかどうかの判断は、廃業か、売却かで扱っています。
廃業を決める前に、一度だけ売却の可能性を確かめてください。売れれば、社員の雇用と取引が続きます。
手続きの流れ
株式会社の場合
| 順 | やること | 窓口 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 株主総会で解散を決め、清算人を選ぶ | 社内 | ― |
| 2 | 解散と清算人の登記 | 法務局 | 解散から2週間以内 |
| 3 | 解散を届け出る(異動届出書) | 税務署・都道府県・市町村 | 速やかに |
| 4 | 債権者への公告と個別の催告 | 官報 | 解散後すぐ。期間は2か月以上 |
| 5 | 解散の日までの確定申告 | 税務署 | 解散の翌日から2か月以内 |
| 6 | 資産を売り、借入や税金を払う | ― | ― |
| 7 | 残った財産を株主に分ける | ― | ― |
| 8 | 清算の確定申告 | 税務署 | 残余財産の確定から1か月以内 |
| 9 | 決算報告を株主総会で承認 | 社内 | ― |
| 10 | 清算結了の登記 | 法務局 | 承認から2週間以内 |
登記の期限は会社法(第926条・第929条)、申告の期限は法人税法第74条によります(会社法、法人税法)。税務署への届出は、国税庁の異動事項に関する届出の案内に沿って出します。
社員がいる場合の手続き
| やること | 窓口 |
|---|---|
| 解雇の予告(30日前まで) | 社員本人 |
| 健康保険・厚生年金の「適用事業所全喪届」 | 年金事務所 |
| 雇用保険の離職証明書(社員が失業給付を受けるため) | ハローワーク |
会社が解雇するときは、少なくとも30日前に予告します。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を払います(厚生労働省 確かめよう労働条件)。
全喪届は、事業の廃止などで社会保険の適用事業所でなくなるときの届出です(日本年金機構 適用事業所全喪届)。離職票は、会社がハローワークに出す離職証明書をもとに社員へ届きます(ハローワーク 雇用保険の手続き)。
かかる費用
必ずかかるもの
| 費用 | 金額 | 出典 |
|---|---|---|
| 解散の登記(登録免許税) | 3万円 | 法務局 記載例 |
| 清算人の選任の登記 | 9,000円 | 同上 |
| 清算結了の登記 | 2,000円 | 法務局 記載例 |
| 官報への解散公告 | 1行 3,947円(税込)× 行数 | 全国官報販売協同組合 掲載料金 |
登記の税金は合計4万1,000円です。官報の掲載料は、会社等の公告の1行あたりの料金で、公告文の行数によって変わります。
頼めばかかるもの
| 費用 | 中身 |
|---|---|
| 司法書士の報酬 | 解散・清算結了の登記の代行 |
| 税理士の報酬 | 解散と清算の確定申告 |
| 在庫の処分 | 専門業者への処分の依頼 |
| 解体・原状回復 | 借りている店舗や事務所を返すとき |
| リースの解約金 | 残りの期間の支払いや違約金 |
報酬や解体の費用は、依頼先と中身で大きく違います。当サイトでは相場の数字を出していません。2〜3社から見積もりを取ってください。
補助金で一部を補える場合
廃業の費用の一部は、「事業承継・M&A補助金」の廃業・再チャレンジ枠で補助される場合があります。上限は300万円、補助率は2/3です(廃業・再チャレンジ枠の公募要領(16次))。
ただし、M&Aに取りかかったが売れなかった、などの条件があります。司法書士の報酬などの廃業支援費は、上限50万円です。条件は事業承継・M&A補助金のしくみにまとめています。
退職金の扱い
社員の退職金
社員の退職金は、退職金規程や就業規則で決まります。規程があれば、それに沿って払うのが基本です。
規程がない会社もあります。払うかどうか、いくら払うかは、社労士や弁護士に相談して決めてください。廃業の資金計画では、退職金と解雇予告手当を先に見込んでおきます。
社長の退職金(小規模企業共済)
社長が「小規模企業共済」に入っていれば、廃業で共済金を受け取れます(中小機構 小規模企業共済 共済金について)。
| 立場 | 共済金Aになる場合 |
|---|---|
| 会社の役員 | 会社が解散した(破産も含む) |
| 個人事業主 | 個人事業を廃業した(すべての事業をやめた) |
掛金を払った月数が6か月未満だと、共済金A・Bは受け取れません。受け取り方には一括と分割があります。
個人事業主の廃業届
個人事業主の場合、会社のような登記や清算はありません。税務署に次の届出を出します(国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)。
| 届出 | 出す人 |
|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 事業をやめるすべての人 |
| 青色申告の取りやめ届出書 | 青色申告をやめる人 |
| 事業廃止届出書(消費税) | 消費税の課税事業者で、ほかに課税売上がない人 |
国税庁の案内では、廃業等届出書の提出時期は「事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。廃業した年の分の確定申告も必要です。社員がいれば、社会保険や雇用保険の手続きは会社と同じように要ります。
業種ごとの届出
許認可が要る業種では、税務や登記とは別に、許認可の廃止の届出が要ります。歯科医院、薬局、保育園などです。
業種ごとの事情は、歯科医院、調剤薬局、保育園のページで扱っています。届出の先と期限は、許認可を出した役所に確かめてください。
借入が残りそうなとき
資産を売っても借入を返し切れない場合、社長の個人保証が問題になります。この場合は、通常の清算ではなく、別の手続きが必要になることがあります。
「経営者保証に関するガイドライン」に、廃業時の保証人の負担を軽くする考え方があります(全国銀行協会)。使える条件があるため、資金が尽きる前に弁護士へ相談してください。
次に読む
- 売却との比べ方:廃業か、売却か。会社をたたむ前に比べること
- 赤字でも売れるか:赤字・債務超過でも会社は売れるか
- 廃業の費用の補助:事業承継・M&A補助金のしくみ
- 後継者がいないとき:後継者がいないときの選択肢と、最初の一歩
出典
- 会社法 第499条・第926条・第929条、法人税法 第74条(e-Gov法令検索)
- 法務局「登記申請書の記載例」(解散・清算人選任、清算結了)
- 全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」(2026年10月4日確認)
- 国税庁、日本年金機構、ハローワーク、厚生労働省、中小機構の各案内ページ
相談について
当サイトは、売却や廃業の申込みを受け付けていません。廃業か売却かで迷ったら、LINEで聞いてください。
事業承継リサーチ 相談窓口が読んで答えます。社名を書く必要はなく、売り込みもしません。
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