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M&Aの契約書で売り手が確かめること(秘密保持・基本合意・最終契約)

秘密保持契約、基本合意書(LOI)、株式譲渡契約書などの最終契約で、売り手が条項ごとに確かめる点を、中小M&Aガイドラインをもとに整理。

確認 2026-10-04

目次(10項目)
  1. はじめに:契約は3回結ぶ
  2. 3つの契約と、売る流れの中の位置
  3. 秘密保持契約(NDA)
  4. 基本合意書(LOI)
  5. 最終契約(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書)
  6. 経営者保証の書き方
  7. 調印の前のチェックリスト
  8. 次に読む
  9. 出典
  10. 相談について

はじめに:契約は3回結ぶ

会社を売るとき、買い手とは大きく3つの契約を結びます。秘密保持契約、基本合意書、最終契約です。

この記事は、契約ごとに売り手が確かめる点をまとめたものです。もとにしたのは、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」です(ガイドライン)。契約書のひな形は、ガイドラインの参考資料に載っています。当サイトでは配布していません。

ポイント

最終契約は、調印の前に弁護士に見てもらってください。ガイドラインも、調印前のセカンド・オピニオンを有効としています。

3つの契約と、売る流れの中の位置

契約結ぶ時期法的な拘束力
秘密保持契約(NDA)買い手候補が、社名入りの詳しい資料を見る前ある
基本合意書(LOI・MOU)買い手を1社に絞り、調査(DD)に進む前原則ない。独占交渉と秘密保持はある
最終契約(株式譲渡契約書など)調査(DD)の後、条件が固まったときある

このほか、仲介会社やFAとの契約も先に結びます。その契約の注意点は仲介会社・FAの選び方にまとめています。流れ全体は会社を売るときの流れと期間にあります。

秘密保持契約(NDA)

どんな契約か

秘密保持契約は、相手が会社の情報を外に漏らさないと約束する契約です。買い手候補が、匿名の概要を見て関心を持った後に結びます。

この契約の後に、社名や財務の情報が入った企業概要書(IM)が渡されます。つまり、社名を明かす前の最後の関門です。

確かめる点

ガイドラインは、秘密保持契約の前に詳しい情報が外に流れないよう、仲介会社やFAに注意を求めています。社名が出る前に、契約が結ばれたかを確かめてください。

基本合意書(LOI)

どんな契約か

基本合意書は、買い手を1社に絞ったときに、その時点の合意を確かめる書面です。ガイドラインでは、主に次のことを書くとしています。

書くこと例
売り方株式譲渡か、事業譲渡か
譲渡額の予定調査(DD)の前の時点の金額
社長・役員・社員の扱い引継ぎの期間、雇用
日程最終契約までの予定と、双方がやること

基本合意書は、原則として法的な拘束力を持ちません。ただし、買い手の独占交渉権と秘密保持は、拘束力を認めるのが普通です。

確かめる点

意向表明書は、買い手が希望の条件を示す書面で、基本合意書とは別物です。こちらも、基本的に拘束力はありません。

最終契約(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書)

必ず書く主な中身

ガイドラインは、最終契約で決める主な中身を挙げています。株式譲渡でも事業譲渡でも共通です。

項目決めること
譲渡の対象何を渡すか(株式か、事業のどの部分か)
時期いつ渡すか
譲渡額代金はいくらか
支払いいつ、どう払うか
社長・役員・社員の扱い引継ぎの期間、雇用を続ける努力
経営者保証の扱い買い手が保証を外すか引き継ぐ義務、外れないときの解除や補償
表明保証何を「事実だ」と約束するか
補償約束と違ったとき、いつまで、どこまで補償するか
引き渡しの前提条件引き渡しまでに何を済ませるか
競業避止義務売った後に、同じ事業をどこまでしてはいけないか
解除どんな場合に契約を解除できるか

株式譲渡は手続きが比較的シンプルです。一方で、帳簿に載らない債務を買い手が心配しやすく、調査が細かくなる傾向があります。税金の違いは会社を売ったら税金はいくらかかる?にあります。

表明保証と補償の上限

表明保証は、決算書や契約、法令の守り方などが「書いたとおりだ」と約束する条項です。違っていれば、補償を求められます。

ガイドラインは、期間や上限のない表明保証は慎重に検討すべきとしています。適用の場面があいまいな条項も、争いのもとになります。

最後の点は、ガイドラインが売り手に確かめるよう勧めている点です。表明保証保険を使う方法もあり、保険料は補助金の対象になる場合があります。

競業避止義務の期間

競業避止義務は、売った後に同じ事業を始めないという約束です。期間と地域と事業の範囲が、主な論点です。

事業譲渡で契約に何も書かない場合、会社法の決まりが当てはまります。同じ市町村と隣の市町村で、20年間は同じ事業ができません(会社法第21条)。

場合期間
事業譲渡で、契約に何も書かない20年(同じ市町村と隣の市町村)
事業譲渡で、特約を結ぶ30年まで有効
株式譲渡法律の決まりはなく、契約で決める

売った後に別の事業を始める予定があれば、範囲を具体的に書いてもらってください。

価格調整条項とアーンアウト

最終契約の後に、譲渡額を変える条項もあります。ガイドラインは、どれも解釈の違いで争いになりやすいとしています。

条項中身ガイドラインの注意
価格調整条項(株価調整条項)最終契約から引き渡しまでの価値の変化で、代金を調整する中小M&Aは期間が短いことが多く、設けるか慎重に
アーンアウト引き渡し後の業績しだいで、代金を追加で払う目標があいまいだと争いに。払われないおそれも
支払金の返還後から損失が見つかったとき、代金を返す返す場面があいまいだと争いに

アーンアウトの期間は、3年以内が多いとガイドラインは書いています。売り手と買い手の値段の差を埋めるためだけに使うのは、慎重にすべきとしています。

支払いが引き渡しの後になる条項

条項起きうること
代金の分割払い買い手の状況しだいで、払われないおそれ。期間が長いほど危ない
役員退職金の後払い業績しだいで、払われないおそれ
株式の段階的な買い取り途中で双方の意向が変わるおそれ

代金は、引き渡しの時に一括で受け取るのが基本です。分割にするなら、遅れたときの決まりを書いておきます。悪質な買い手の手口はM&A詐欺・悪質な買い手の手口と見分け方にまとめています。

引き渡しまでの期間

最終契約から引き渡しまでの期間が長いと、業績が変わって契約の修正が要るおそれがあります。ガイドラインは、特別な事情なく2か月以上空ける場合などに注意を促しています。

社長個人の名義の土地や、会社名義の自家用車などは、できるだけ最終契約の前に整理します。後に回すと、合意した中身が変わって争いになりやすいためです。

経営者保証の書き方

会社の借入を社長が保証している場合、最終契約での書き方が大切です。ガイドラインは、次の書き方を示しています。

引き渡しの時に、買い手の資金で借入を返してもらう方法もあります。赤字の会社の場合は赤字・債務超過でも会社は売れるかも参考にしてください。

調印の前のチェックリスト

言葉の意味はM&A用語集にまとめています。

次に読む

出典

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