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会社を売るときの流れと期間:相談から入金まで

相談から入金、引継ぎまでの10の段階を順に説明します。各段階で社長がやること、かかる期間の目安、手数料を払う時期も。

確認 2026-10-04

目次(6項目)
  1. はじめに:全体では1年前後を見ておく
  2. 10の段階をひと目で見る
  3. 段階ごとに、社長がやること
  4. 手数料を払うタイミング
  5. 時間が延びやすいところ
  6. 相談について

はじめに:全体では1年前後を見ておく

会社を売るときは、相談から入金まで、決まった順番で進みます。入金の後にも、仕事の引継ぎが続きます。

かかる期間は会社によって大きく違います。公的な資料と、上場している仲介会社の開示では、次のような目安が示されています。

区切り期間の目安出典
買い手が見つかるまで(マッチング)数か月〜1年程度中小M&Aガイドライン第3版
依頼から成約まで平均7.2か月。1年以上かかることもあるM&A総合研究所(同社の実績)
入金の後の引継ぎ3か月〜1年程度が多い中小M&Aガイドライン第3版

M&A総合研究所は東証上場のグループに属する仲介会社で、数字は同社サイトの記載です。業種や会社の大きさで変わるため、ひとつの例として見てください。

ポイント

相談から引継ぎの終わりまで、1年以上かかることもあります。引退したい時期から逆算して、早めに動き出すことが大切です。

10の段階をひと目で見る

中小M&Aガイドラインの流れ図をもとに、10の段階に分けました。期間は、公的な資料などに数字があるものだけを書いています。

段階社長がやること期間の目安お金が動くか
1. 相談決算書などを持って相談する決まりはない公的な窓口は無料
2. 依頼の契約・秘密保持仲介会社やFAを選び、契約する専任の契約は最長でも6か月〜1年以内が目安着手金がかかる会社がある
3. 企業評価資料を出し、面談に応じる公的な目安はない会社による
4. 買い手探し打診したい先・避けたい先を伝える数か月〜1年程度月額報酬がかかる会社がある
5. トップ面談買い手の社長と会う公的な目安はないなし
6. 基本合意主な条件に大筋で合意する公的な目安はない中間金がかかる会社がある
7. 買い手の調査(DD)資料を出し、質問に答える公的な目安はない調査は買い手が専門家に頼むのが通常
8. 最終契約契約書を確かめて調印する公的な目安はない成功報酬(この時点の会社)
9. 決済株などを渡し、入金を確かめる最終契約から間を空けすぎない成功報酬(この時点の会社)
10. 引継ぎ社員・取引先への報告、業務の引継ぎ3か月〜1年程度退職金を後払いにする契約もある

専任の契約期間と引継ぎの期間は、中小M&Aガイドライン第3版の記述です。手数料の払い方は、会社ごとに違います(M&A仲介の手数料のしくみ)。

段階ごとに、社長がやること

1. 相談

最初は、身近な支援機関に相談します。顧問税理士、取引先の金融機関、事業承継・引継ぎ支援センターなどです。

中小M&Aガイドラインは、相談の時点の資料は次のもので十分だと書いています。ほかの資料は、支援機関に言われてから準備すれば足ります。

ガイドラインは、売るかどうか決めていない段階でも相談してよいと書いています。決めていないからこそ相談が必要だ、という書き方です。

ポイント

自分に不利な話ほど、先に伝えるのがよいとされています。支援機関が早く手を打ちやすくなるためです。

公的な事業承継・引継ぎ支援センターは、相談が無料です(事業承継・引継ぎ支援センター)。

2. 依頼の契約と秘密保持

次に、仲介会社かFAを選んで契約します。仲介は売り手と買い手の両方を、FAは依頼した側だけを支援します(仲介とFAの違い)。

この契約には、秘密を守る取り決め(秘密保持の条項)が入るのが一般的です。契約前に、次の点を確かめてください。

ガイドラインは、専任の契約期間は最長でも6か月〜1年以内を目安にすべきだとしています。テール条項の期間は、最長でも2〜3年以内が目安とされています(M&A支援機関登録制度 公募要領)。どちらも支援機関に求める目安で、個々の契約の中身は契約書で確かめてください。

3. 企業評価(いくらで売れそうか)

仲介会社などが、会社の値段の目安を出します。社長との面談、提出した資料、会社の見学をもとに計算します。

ガイドラインによると、中小企業では次のような方法がよく使われます。

方法考え方
簿価純資産法帳簿の上の「資産−負債」で考える
時価純資産法資産と負債を今の値段に直して「資産−負債」で考える
類似会社比較法似た会社の値段と比べて考える

時価純資産に、数年分の利益を足して交渉することもあります。出た金額がそのまま売値になるわけではなく、最後は買い手との合意で決まります。

4. 買い手探し

仲介会社などは、まず社名を伏せた資料(ノンネーム・シート)を数十社程度の候補に送ります。関心を示した数社と秘密保持契約を結んでから、社名や詳しい資料を渡します。ガイドラインは、これが通常の流れだと説明しています。

社長が、事前に仲介会社などへ伝えておくことは次のとおりです。

5. トップ面談

買い手の社長と、直接会って話します。ガイドラインは、相手の考え方や人柄を確かめる大切な場だとしています。

面談の前に、希望条件に優先順位をつけておきます。特に「これだけは譲れない」点を決めておくことが勧められています。

6. 基本合意

条件に大筋で合意したら、基本合意書を結びます。ガイドラインによると、主に次のことを書きます。

資金繰りを急ぐ場合は、基本合意を省くこともあります。秘密保持契約だけを結び、最終契約へ進む形です。

7. 買い手の調査(DD)

DD(デュー・ディリジェンス)は、買い手が会社の中身を調べることです。お金、法律、事業、税金などを、専門家を使って調べます。

調べ方の深さは案件ごとに違います。数年分の申告書と社長への聞き取りだけで終えることもある、とガイドラインは書いています。社員に伝えていない場合は、気づかれずに進める工夫が要ります。

8. 最終契約

DDで見つかった点を話し合い、最終的な契約を結びます。ガイドラインが挙げる、主に決める項目は次のとおりです。

項目中身
売るもの・時期・値段何を、いつ、いくらで売るか
支払いの時期と方法代金をいつ、どう払うか。確定した代金と、業績などで変わる条件付きの代金(アーンアウト)を分ける
社長・社員の扱い引継ぎの期間、雇用を続ける努力の約束など
経営者保証の扱い社長の個人保証を外すか、買い手に移すか
表明保証・補償説明した内容が正しいという約束と、違ったときの補償
競業避止売った後に、同じ商売をどこまで控えるか

内容に不安があれば、調印の前に別の専門家の意見を聞く方法もあります。ガイドラインは、これを「セカンド・オピニオン」として勧めています。

9. 決済(クロージング)

株や事業を渡し、代金を受け取る段階です。代金は、決済のときに払うのが基本です。ただし、分割払いや、後で条件次第で払われるアーンアウトを使う契約もあります。

ガイドラインは、入金を確実に確かめるよう書いています。最終契約から決済までに、理由なく2か月以上空けることにも注意を促しています。その間に業績が変わり、契約の見直しが要るおそれがあるためです。

10. 引継ぎ

決済の後、社員や取引先に報告します。リースや借入の名義変更、個人保証の解除なども進めます。

ガイドラインによると、この作業には3か月〜1年程度かかることが多いです。社長は少しずつ、会社の運営から離れていきます。

手数料を払うタイミング

仲介会社などへの手数料は、払う時期で4つに分かれます。どれがかかるかは会社ごとに違います。

名前払う時期段階
相談料最初の相談1
着手金依頼の契約をしたとき2
中間金基本合意のとき6
成功報酬最終契約のとき、または決済のとき8か9

成功報酬を払う時期も、会社で違います。日本M&Aセンターは最終契約の締結時です(料金体系)。インテグループは決済が終わったときだけです(料金体系)。

ポイント

売れなかった場合に、着手金や中間金が戻るかを確かめてください。契約の前に、書面で確かめるのが安全です。

ガイドラインに載っている例

中小M&Aガイドラインには、期間と手数料の例が載っています。どれも消費税10%を含む額です。

例かかった期間売り方と金額手数料の総額
事例16か月株式譲渡・1億円660万円
事例34か月事業譲渡・3,000万円429万円
事例410か月株式譲渡・5,000万円1,100万円

事例4は、最低手数料が1,000万円(税抜)の会社に頼んだ例です。手数料は売値の2割を超えています。手数料の計算は手数料の計算で試せます。

時間が延びやすいところ

期間が延びる原因は、案件ごとに違います。ガイドラインの記述から、主なものを挙げます。

原因何が起きるか早めにできること
株主が散らばっている全部の株を集めるのに時間がかかる名義だけの株主や、連絡の取れない株主を整理する
情報が漏れる取引先や社員が離れ、話が止まる相談先を絞り、知らせる時期を決める
資金繰りが苦しい買い手を探す時間がなくなる資金に余裕のあるうちに動く
個人保証の扱いが決まらない決済の後に保証が外れないおそれ弁護士や支援センターに早めに相談する

ガイドラインには、着手が遅れて資金が尽き、売れずに廃業した例も載っています。業績が苦しいときほど、早く相談することが勧められています。赤字の場合の考え方は廃業か、売却かにまとめています。

相談について

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