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会社を売ったら税金はいくらかかる?株式譲渡と事業譲渡の違い
株式譲渡は社長個人に約20%、事業譲渡はまず会社に法人税と消費税がかかります。役員退職金を組み合わせる考え方も国税庁の資料で整理。
確認 2026-10-04
はじめに:売り方で「誰に」税金がかかるかが変わる
会社を売る方法は、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つです。どちらを選ぶかで、税金がかかる相手と計算のしかたが変わります。
この記事は、国税庁などの公式の資料をもとにした一般的な説明です。あなたの会社の税額は、必ず税理士に確かめてください。
| 比べる点 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 売るもの | 社長が持つ会社の株 | 会社が持つ事業(設備・取引先・人など) |
| 代金を受け取る人 | 株主である社長個人 | 会社 |
| 主な税金 | 社長個人の所得税・住民税 | 会社の法人税など、消費税 |
| 税率の目安 | もうけの20.315% | 会社の所得に応じた法人税率など |
| 社長の手元に移すとき | 追加の税金はない | 配当や報酬にすると、さらに税金がかかる |
20.315%と、事業譲渡の後の課税の流れは、中小企業庁の資料にもあります(中小M&Aガイドライン第3版)。
同じ値段で売っても、売り方によって手元に残るお金は変わります。売り方を決める前に、税理士と一緒に比べてください。
株式譲渡の税金
もうけ(譲渡所得)の計算
株を売ったときは、売った値段から、かかったお金を引いた残りに税金がかかります。国税庁は次の式で説明しています(No.1463 株式等を譲渡したときの課税)。
- 売った値段 −(株を手に入れたときの値段 + 売るためにかかった手数料など)= もうけ
この「もうけ」を、税金の世界では譲渡所得と呼びます。給料などのほかの所得とは分けて、税金を計算します(申告分離課税)。
税率は20.315%
上場していない会社の株も、税率は同じです。内訳は次のとおりです。
| 税金 | 税率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 所得税 | 15% | 国税庁 No.1463 |
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1%(もうけの0.315%) | 国税庁 No.1463 |
| 住民税 | 5% | 国税庁 No.1463 |
| 合計 | 20.315% | 中小M&Aガイドライン第3版にも同じ記載 |
復興特別所得税は、2047年分(令和29年分)まで所得税と一緒に納めます。国税庁は、令和8年度の改正で2027年から防衛特別所得税ができると説明しています。退職所得のページでは、合計の税率は変わらないとしています(No.1420)。
計算の例【試算】
前提は、会社を作ったときに1,000万円で株を手に入れた社長です。株を1億円で売り、手数料などに1,000万円かかったとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売った値段 | 1億円 |
| 引くもの(取得費+手数料など) | 2,000万円 |
| もうけ | 8,000万円 |
| 税金(8,000万円×20.315%) | 1,625万2,000円 |
| 手元に残る額(1億円−2,000万円−税金) | 6,374万8,000円 |
実際には、何を手数料などとして引けるかで額が変わります。この例は計算の流れを見るためのもので、税理士の確認が必要です。
見落としやすい点
中小M&Aガイドラインは、株を売った社長の個人の負担について注意を書いています。会社の社会保険に入っていない場合は、国民健康保険料などにも影響があります。
売った年の翌年には、確定申告が必要です。代金を全部使ってしまわず、税金の分を取っておいてください。
事業譲渡の税金
まず会社に法人税などがかかる
事業譲渡では、代金は会社に入ります。売ってもうけが出れば、会社の所得として法人税などがかかります(中小M&Aガイドライン第3版)。
法人税の税率は、国税庁によると次のとおりです(No.5759 法人税の税率)。このほかに、法人住民税や事業税もかかります。
| 会社の区分 | 年800万円以下の部分 | 年800万円を超える部分 |
|---|---|---|
| 資本金1億円以下の会社など | 15% | 23.2% |
| それ以外の会社 | 23.2% | 23.2% |
2025年4月以後に始まる事業年度で、所得が年10億円を超える年は、800万円以下の部分も17%です。ほかにも例外があるため、国税庁のページで確かめてください。
消費税がかかるものと、かからないもの
事業譲渡では、売る資産ごとに消費税の扱いが分かれます。中小M&Aガイドラインは、減価償却資産などは消費税の課税売上になると書いています。
| 消費税がかかる例 | 消費税がかからない例 |
|---|---|
| 建物、機械、車両などの設備 | 土地 |
| 商品などの在庫 | 株などの有価証券 |
| 権利などの形のない資産 | 売掛金などの金銭債権 |
消費税の対象には、形のない権利も含まれます(No.6105 課税の対象)。土地や有価証券、金銭債権の譲渡は非課税です(No.6201 非課税となる取引)。
社長の手元に移すときにも税金がかかる
事業譲渡の代金は会社のお金です。社長個人が使うには、会社から社長へ移す必要があります。
ガイドラインによると、配当や役員報酬で移すと総合課税になります。税率は15.105%〜55.945%です。株式譲渡の20.315%より高くなることもあります。
事業譲渡は「会社で1回、社長個人でもう1回」税金がかかる形になりやすいです。手元に残る額は、2段階で計算してください。
買い手にとっての違い
ガイドラインは、事業譲渡には買い手にとっての利点もあると書いています。主なものは次のとおりです。
- 引き継ぐ資産や負債を選べるので、帳簿にない借金などのリスクを避けやすい
- のれん(資産調整勘定)が生じれば、税金の計算で費用にできる
一方で、不動産を移すときは、買い手に不動産取得税や登録免許税がかかります。許認可は、事業譲渡では取り直しが必要になることが多いとされます。扱いは許認可の種類で違うので、所管の役所に確かめてください。
役員退職金を組み合わせる考え方
なぜ組み合わせるのか
会社を売るときは、社長が役員を退くことが多くあります。そこで、会社から社長に役員退職金を払う形を、売却と組み合わせることがあります(中小M&Aガイドライン第3版)。
退職金は、ほかの所得と分けて計算され、税金が軽くなる仕組みがあります。ガイドラインも、分離課税の退職金と組み合わせる検討に触れています。
退職金の税金の計算
国税庁の計算式は次のとおりです(No.1420 退職金を受け取ったとき)。
- (退職金 − 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円) |
| 20年を超える | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
国税庁の例では、勤続30年なら控除額は1,500万円です。ただし、役員として5年以下しか勤めていない場合は、1/2にする計算が使えません。
会社の側では費用になる
会社が役員に払う退職金は、適正な額であれば会社の費用(損金)になります(No.5208 役員の退職金の損金算入時期)。原則として、株主総会の決議などで額が決まった年度の費用です。
株式譲渡と組み合わせると、退職金の分だけ会社のお金が減ります。その分、株の値段は下がる方向に働きます。どちらが得かは、会社ごとの計算で変わります。
気をつけること
| 注意点 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 額が適正であること | 適正な額でなければ、会社の費用として認められない | 国税庁 No.5208 |
| 後払いのリスク | 売った後に払う約束は、買い手の状況で払われないおそれ | 中小M&Aガイドライン第3版 |
| 手数料が増えることがある | 退職金を手数料の計算のもとに含める仲介会社がある | 各社の料金表 |
手数料の計算のもとに退職金を含める会社の例は、M&A仲介の手数料のしくみにまとめています。手数料の目安は手数料の計算で試せます。
税理士に確かめること
税金の個別の相談に乗れるのは、原則として税理士です(税理士法第52条)。当サイトも、あなたの会社の税額にはお答えできません。
税理士に相談するときは、次の点を聞くと話が早く進みます。
- [ ] 株式譲渡と事業譲渡で、手元に残る額はそれぞれいくらか
- [ ] 株を手に入れたときの値段が分かる書類はあるか
- [ ] 役員退職金を払うなら、いくらまでが適正と考えられるか
- [ ] 事業譲渡の場合、消費税はいくらかかるか
- [ ] 売った翌年の確定申告と、保険料への影響
顧問税理士がM&Aに詳しくなければ、事業承継・引継ぎ支援センターで相談先を探す方法もあります。売却全体の流れは後継者がいないときの選択肢で説明しています。
相談について
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