はじめての方へ
M&A用語集:社長が最初に知っておく40語
手数料、値段の決め方、売るまでの手続き、契約の4つに分けて、M&Aでよく出る40語を「ひと言で」と「社長にとっての意味」で説明します。
確認 2026-10-04
この用語集の使い方
仲介会社やFAとの面談では、聞き慣れない言葉が多く出ます。この用語集は、よく出る40語を4つの場面に分けました。
| 場面 | 入っている言葉の例 |
|---|---|
| お金(手数料) | レーマン方式、最低報酬、中間金 |
| 評価(値段) | EBITDA、年買法、営業権 |
| 手続き(売るまでの流れ) | NDA、意向表明、DD |
| 契約 | テール条項、表明保証、株式譲渡 |
各語は「ひと言で」と「社長にとっての意味」の2行です。定義は、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」をもとにしています(中小M&Aガイドライン第3版)。
ポイント
面談で分からない言葉が出たら、その場で聞いて構いません。説明できない相手は、比べる材料になります。
お金(手数料)の言葉
レーマン方式
- ひと言で:金額を区切り、区切りごとに違う料率を掛けて手数料を出す方法
- 社長にとって:5億円以下は5%などが多いが、実際の額は次の「最低報酬」で決まることが多い
最低報酬
- ひと言で:料率で出した額がこれより小さいとき、代わりに払う最低の額
- 社長にとって:大手は2,000万〜2,500万円。譲渡額が小さいほど、手数料の割合が重くなる
報酬基準額(計算のもと)
- ひと言で:料率を掛ける金額。株の譲渡額、企業価値、移動総資産などがある
- 社長にとって:同じ料率でも、借金などを足した金額に掛けると手数料が大きくなる
着手金
- ひと言で:仲介会社やFAと依頼の契約を結んだときに払う手数料
- 社長にとって:取る会社と取らない会社がある。売れなかったとき返ってくるかを必ず聞く
中間金
- ひと言で:基本合意のときなど、途中の決まった時点で払う手数料
- 社長にとって:成功報酬に含めることが多いが、売れなかったときの扱いは会社ごとに違う
成功報酬
- ひと言で:売れたとき(主に代金の決済のとき)に払う手数料
- 社長にとって:成功報酬だけを取る「完全成功報酬型」の会社も、相当数あるとされる
手数料の計算は手数料のしくみで、会社ごとの比べ方は手数料の計算で確かめられます。
評価(値段)の言葉
バリュエーション
- ひと言で:会社や事業の値打ちを計算すること。企業価値評価ともいう
- 社長にとって:出た金額がそのまま値段になるとは限らない。最後は交渉で決まる
時価純資産法
- ひと言で:会社の資産と負債を今の値段に直し、資産から負債を引いて値打ちを出す方法
- 社長にとって:ガイドラインは、中小M&Aではこの方法で算定される例が多いとしている
年買法
- ひと言で:純資産に、もうけの数年分を足して値段を出す考え方
- 社長にとって:足す年数は通常1〜3年とされ、交渉で決まる。年数で値段が大きく変わる
営業権(のれん)
- ひと言で:純資産より上乗せされる部分。信用や取引先など、帳簿に載らない値打ち
- 社長にとって:会社の強みを買い手に説明できると、この部分の交渉材料になる
EBITDA
- ひと言で:本業で生み出すお金の目安。簡単には営業利益+減価償却費
- 社長にとって:倍率で値段を出すときの「もうけ」として使われる
EV(企業価値)
- ひと言で:会社全体の値段。株の値段に、借金から現預金を引いた額を足したもの
- 社長にとって:借金が多いと、同じEVでも株の値段(手元に入る代金)は小さくなる
EV/EBITDA倍率
- ひと言で:会社全体の値段が、EBITDAの何年分かを表す数字
- 社長にとって:国の集計では中小M&Aの中央値が7.3倍(2024年度)。幅は大きい
DCF法
- ひと言で:将来入るお金を見積もり、今の値打ちに直して足し合わせる方法
- 社長にとって:将来の力を映せる一方、計画の置き方で金額が大きく動く
非流動性ディスカウント
- ひと言で:上場していない株は売り買いしにくいとして、値段を割り引くこと
- 社長にとって:国の制度のサイトは、30%程度割り引くケースもあると書いている
値段の決まり方の全体は、会社の売却相場の考え方にまとめています。倍率の数字の出典は、中小M&Aに関する集計結果です。
手続き(売るまでの流れ)の言葉
仲介
- ひと言で:売り手と買い手の両方と契約し、両方を手伝う支援機関
- 社長にとって:両方から手数料を受け取るのが通常。利益がぶつかる点があることを知っておく
FA(フィナンシャル・アドバイザー)
- ひと言で:売り手か買い手の、どちらか一方とだけ契約して手伝う支援機関
- 社長にとって:売り手のFAは、売り手のためだけに助言する。違いは仲介とFAの違いへ
マッチングサイト
- ひと言で:インターネット上で、売り手と買い手が出会う場を作るサイト
- 社長にとって:小さい案件でも使いやすい。サイトの手数料と、別に頼む専門家の費用を分けて確かめる
登録支援機関
- ひと言で:国の「M&A支援機関登録制度」に登録した仲介会社やFA
- 社長にとって:ガイドラインを守ると宣言している。データベースで手数料の体系も見られる
セカンド・オピニオン
- ひと言で:契約や助言が妥当か、別の専門家や公的な窓口に意見を聞くこと
- 社長にとって:事業承継・引継ぎ支援センターや弁護士に聞ける。専任契約で制限されないか確かめる
ノンネームシート
- ひと言で:社名が分からないように、会社の概要を短くまとめた資料
- 社長にとって:買い手候補に興味があるかを聞くために使う。この段階では社名は出ない
NDA(秘密保持契約)
- ひと言で:知った情報を外に漏らさないと約束する契約
- 社長にとって:買い手候補が詳しい情報を見る前に結ぶ。漏れると売却が止まることもある
IM(企業概要書)
- ひと言で:NDAを結んだ相手に渡す、社名入りの詳しい会社の資料
- 社長にとって:仲介会社やFAが作ることが多い。中身に誤りがないか自分で確かめる
トップ面談
- ひと言で:売り手と買い手の社長同士が直接会う場
- 社長にとって:相手の考え方や人柄を確かめる場。譲れない条件を先に決めておく
意向表明
- ひと言で:買い手が、買いたい条件を書面で示すこと
- 社長にとって:多くは法的な拘束力がない。値段や条件を比べる材料になる
基本合意
- ひと言で:相手を1社に絞り、その時点の主な条件を確かめ合う書面
- 社長にとって:多くは拘束力がないが、独占して交渉する権利などは拘束力を持つのが通常
DD(デュー・ディリジェンス)
- ひと言で:買い手が専門家に頼んで行う、売り手の会社の詳しい調査
- 社長にとって:結果しだいで値段や契約の条件が見直される。資料は早めにそろえておく
クロージング
- ひと言で:最終契約の後、株などを渡し、代金を受け取る手続き
- 社長にとって:代金はここで初めて支払われるのが通常。成功報酬を払う時期でもある
PMI
- ひと言で:売った後の一定期間に行う、会社の統合の作業
- 社長にとって:引継ぎの期間や役割が契約で決まることがある。売った後の予定に入れておく
流れの全体と期間は、会社を売るときの流れと期間で説明しています。
契約の言葉
株式譲渡
- ひと言で:社長などが持つ会社の株を、買い手に売ること
- 社長にとって:手続きが簡単で、売った利益は分離課税(20.315%)で終わる。詳しくは税金の記事へ
事業譲渡
- ひと言で:会社が持つ事業の全部や一部を、買い手に売ること
- 社長にとって:代金は会社に入る。許認可の取り直しなど、個別の手続きが必要になる
専任契約
- ひと言で:他の仲介会社やFAに、同時に頼まないと約束する契約
- 社長にとって:ガイドラインの目安は、契約期間が最長でも6か月〜1年以内
テール条項
- ひと言で:契約が終わった後でも、紹介された相手に売れば手数料がかかる決まり
- 社長にとって:目安は最長でも2〜3年以内。対象は社名を明かして紹介された相手だけ
直接交渉の制限
- ひと言で:紹介された相手と、仲介会社などを通さずに交渉しないという決まり
- 社長にとって:ガイドラインは、対象を紹介された相手に、期間を契約の間に限るべきとしている
最終契約
- ひと言で:値段、払う時期、条件などを正式に決める契約。株式譲渡契約など
- 社長にとって:調印の前に、弁護士に中身を見てもらう
表明保証
- ひと言で:会社の状態が書いたとおりだと約束し、違えば補償する決まり
- 社長にとって:期間や上限のない約束は慎重に。売った後の負担につながる
アーンアウト
- ひと言で:売った後の業績が目標に届けば、代金を追加でもらう決まり
- 社長にとって:目標や金額があいまいだと揉めやすい。払われないおそれも考える
キーマン条項
- ひと言で:社長や中心の社員が、売った後も一定期間残ることなどを条件にする決まり
- 社長にとって:ガイドラインも最終契約で、社長の引継ぎ期間などを確かめるよう挙げている
COC条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)
- ひと言で:株主が変わると、取引先などが契約を解除できるとする決まり
- 社長にとって:賃貸や大口の取引の契約に入っていないか、売る前に確かめる
経営者保証
- ひと言で:会社の借入を、社長が個人で保証していること
- 社長にとって:売っても自動では外れない。外す義務と、外れないときの決まりを契約に書く
契約で揉めやすい点はM&Aのトラブルと悪質な買い手・業者を避けるにはにまとめています。経営者保証は赤字・債務超過でも会社は売れるかでも説明しています。
相談について
当サイトは、売却の申込みを受け付けていません。言葉の意味や使われ方で迷ったら、LINEで聞いてください。
担当者が読んで返信します。社名を書く必要はなく、売り込みもしません。
LINEで相談先を聞くどこに相談すればいいか、手数料はいくらか。社名を出さずにLINEで聞けます。
LINEで相談先を聞く答えるのは「事業承継リサーチ 相談窓口」(運営:株式会社楽笑)。会社名なしで相談できます。相談でできること・回答例
担当者が内容を読んで返信します。売り込みや営業電話はしません。相談内容を相談先に伝えるのは、ご本人が希望し、伝える先と内容に同意した場合だけです。情報の取扱い