印刷会社の承継・売却、どこに相談するか

印刷会社(オフセット・商業印刷・パッケージ・製版・製本などの中小印刷業)の売却の相談先13社を、手数料と実績で比較。

迷ったらこう選ぶ:編集部の判断

株式の譲渡額が1億円以上5億円未満なら、私は非専任のM&Aサクシードから見積もりを取ります。 2億円までの報酬は1,000万円(税別)で、途中の支払いもないからです。私は、公開成約85件の日本M&Aセンターの提案とも比べます。

この表は、法人の株式を売る人向けです。上から順に見て、最初に当てはまる行があなたの行です。

あなたの状況私の第一候補こうなら逆転いちばんのリスク
譲渡額が未定、または3,000万円未満事業承継・引継ぎ支援センター全印工連の組合員なら組合の窓口も使う紹介先の民間の支援は有料
3,000万円以上1億円未満バトンズ自分で交渉できるならトランビ株式譲渡は有料支援が必須で段階料金
1億円以上5億円未満M&Aサクシード3億円以上ならインテグループと並べる印刷の公開1件は他社経由
5億円以上日本M&Aセンター追加費用に見合う提案がなければMACP負債を含む総資産が報酬の基準

決め手は3つだけ

1. 報酬と、売れなかったときの出費

個人株主が株式を1億円で売る例です。取得費は1,000万円です。サクシードは税別報酬1,000万円で、手取り約7,300万円です。インテグループは1,500万円で、約6,860万円です。M&A総合研究所は2,500万円で、約5,980万円です。日本M&Aセンターは着手金が別で、中間金の有無は報酬表にありません。私は、売れなかったときに戻らない額も書面で聞きます。

2. 印刷機のリースと工場の抵当権

株式を売っても、リース契約の借主は会社のままです。事業だけを売る場合、印刷機の持ち主はリース会社なので、売り手だけでは移せません。自社所有の印刷機には、工場の土地建物の抵当権が及ぶのが原則です。私は、リース契約の一覧と登記の機械目録をそろえます。

3. 買い手が工場をまとめるか

日本M&Aセンターの公開成約85件では、54件の買い手が印刷会社です。同業の買い手は、工場を一つにまとめることがあります。船井総研グループの事例では、譲渡の3か月後に買い手の工場へ移り、その後に合併しました。別の事例の買い手は、加工工程の内製化を目的に挙げています。私は、工場集約か工程の内製化かを先に聞きます。

言いにくいこと

  • 日本M&Aセンターは、小規模案件をグループ会社へ紹介しています。
  • 全印工連の窓口は相談無料ですが、運営する山田コンサルティンググループの報酬は非公開です。
  • 日本財務戦略センターの印刷の事例3件は、一般化した匿名の例と平均のモデルです。
  • 日本創発グループは、取得した会社の合併再編を決算資料に掲げています。
  • 売り手0円をうたった印刷業M&A総合センターのドメインは、今はM&Aと関係のないサイトです。
  • 私の第一候補のM&Aサクシードも、印刷の公開事例は1件で、買い手からも報酬を受け取ります。

面談で必ず聞くこと

  • 「私の譲渡額なら、報酬は税込でいくらですか。途中で払う額も含めて、書面でください」
  • 「報酬の計算のもとは、株式の譲渡額ですか。負債や退職金も含めますか」
  • 「売れなかったとき、戻らないお金はいくらですか」
  • 「担当者本人の、同じ工程・同じ規模の成約を教えてください」
  • 「契約まで誰が何を担当しますか。他社に払う費用はありますか」
  • 「買い手は、工場と社名を残しますか。移転するなら、いつ決まりますか」

どこから話を聞くか迷ったら、相談先診断で絞り込んでから面談を入れてください。

詳しい判断と根拠を読む

線を引いた理由

3,000万円は、無料相談を先にする私の区切りです。3,000万円なら、バトンズの支援料は税込385万円です。私は、交渉支援にこの額を払う区切りを3,000万円に置きます。バトンズは段階料金で、5,000万円になると税別500万円に上がります。段階の境目では、私は売値より手取りを見ます。

1億円の線は、バトンズとサクシードの報酬が並ぶ点です。1億円以上1.5億円未満は、どちらも1,000万円です。1.5億円以上3億円未満は、サクシードの方が安くなります。3億円以上は、両社とも譲渡額の5%です。私は、非専任を公表するサクシードを条件集めの起点にします。日本M&Aセンターは原則専任なので、契約を併用する前に条件を確かめます。

3億円以上5億円未満では、インテグループとサクシードの報酬は同じです。3億円なら、どちらも1,500万円です。インテグループには、印刷会社の専用ページと公開事例2件があります。この帯では、私は両社の見積もりを並べます。

5億円では、4社の報酬が2,500万円で並びます。サクシード・インテグループ・M&A総合研究所・M&Aキャピタルパートナーズです。MACPの2,500万円は、先に払う中間報酬を含む額です。ストライクは基本合意報酬を足して2,600万円です。退職金などの加算がなく、資産総額10億円以下の例です。日本M&Aセンターは、負債0でも成功報酬2,500万円に着手金100万円以上が加わります。5億円を超えると、一律5%のサクシードの方が高くなります。10億円なら5,000万円で、インテグループは4,500万円です。

この帯では、私は料金より、同業の買い手に届くかで選びます。印刷の売り手の成約は、日本M&Aセンターの一覧で85件です。M&Aキャピタルパートナーズは16件です。インテグループの公開事例は2件、サクシードは1件です。

借入が多い会社では、日本M&Aセンターの報酬が上がります。5億円で売り、負債が2億円ある例です。日本M&Aセンターの成功報酬は3,300万円になり、着手金も別です。M&Aキャピタルパートナーズは株式価額が基準なので、2,500万円のままです。この場合、私はM&Aキャピタルパートナーズを先にします。MACPは約250万円を中間報酬として先に払うので、不成立時の返金条件も書面で確かめます。私は、追加の費用に見合う買い手候補を出せるかで決めます。

同じ1億円で売るなら、私は手数料の安い方を選びます。税別で500万円高い報酬には、550万円高い売値を求めます。

状況別:私ならこうする

売上が落ちて、廃業も考えている会社。 2025年度の印刷業の廃業は230件で、年度の最多でした。帝国データバンクは、廃業した会社の顧客を引き受けて「残存者利益」を得る会社もあると書いています。バトンズの事例でも、買い手は人員の確保を譲受けの理由に挙げました。私は、廃業を決める前に一度は売却を打診します。

オフセット輪転やグラビアの工場。 乾燥施設の送風能力が一定以上なら、VOCの排出施設です。オフセット輪転は毎時7,000㎥、グラビアは毎時27,000㎥が線です。株式を売れば、届出をした法人は変わりません。工場ごと他社に譲るなら、譲り受けた会社が地位を継ぎ、30日以内に届け出ます。

印刷機をリースで入れている会社。 リース契約は、契約に定める場合を除き解除できません。株式譲渡なら借主は会社のままです。それでも私は、借主の支配権が変わったときの条項を契約書で読みます。事業譲渡なら、残りのリース料を誰が払うかを、リース会社と先に決めます。

工場の土地建物に銀行の抵当権がある会社。 抵当権は、備え付けた自社所有の印刷機にも及ぶのが原則です。設定のときに別の定めをしていれば、及びません。私は、登記の機械目録で、どの機械が担保かを確かめます。

工場の土地が社長個人の名義の会社。 私は、土地を売るか貸すかを先に決めます。土地の価格は、株式の価格と別に交渉します。

DMや名簿を扱う会社。 Pマークは事業者に付与されます。株式を売れば、付与事業者は変わりません。事業だけを他社に移すと、Pマークは原則として買い手に移りません。私は、Pマークが受注の条件になっている取引先を書き出します。

売上が少数の発注元に偏っている会社。 日本M&Aセンターも、注意点に「一社偏重の度合い」を挙げています。私は、取引先別の売上と発注書をそろえます。取適法は、代金の協議に応じない一方的な決定を禁じています。値上げの協議の記録も、買い手に見せる材料になります。

全印工連の組合員の会社。 組合の事業承継支援センターは、相談が無料です。相談内容は組合や他の組合員に伝わらないと書いています。私は、組合員の特典価格を書面で出してもらい、サクシードの見積もりと並べます。

買い手がもう決まっている会社。 私は、相手探しより売り手側の助言の範囲と費用で選びます。私は、売り手側FAの見積もりを求め、誰の側で助言する契約かを確かめます。

上場グループに入りたい会社。 日本創発グループは、2015年の20社から2025年末の70社に広がりました。2026年にも、パッケージ印刷の会社を2社子会社にしています。私は、社名と工場をどうするかを最初に聞きます。

個人に引き継いでもいい小さな印刷所。 トランビでは、コピー・スキャンの印刷代行業を個人が引き継いだ事例があります。この事例では、売り手に仲介会社が付いていました。私は、自分で交渉しない部分の費用を先に見積もります。

気にしなくていいこと

  • 業の許可の承継。 印刷業そのものの営業許可は、今回の調査で見つかりませんでした。設備の届出と承継の手続きは、別に確認します。騒音・振動は特定施設のすべてを譲り受けると地位を継ぎ、30日以内に届け出ます。
  • 掲載案件の数。 バトンズの印刷業300件は、掲載中の案件の数です。成約の数でも、買い手の数でもありません。
  • 統計の出荷額の平均。 従業者9人以下の事業所の出荷額は、平均約5,100万円です。出荷額は売上でも売値でもないので、相場には使いません。
  • 業界の長い縮小の数字。 出荷額は1991年の8.9兆円から、2024年は5.0兆円です。集計の範囲が違うので、私は率を細かく比べません。私は、顧客と人に加え、設備を維持する負担で値段を見ます。

言いにくいことの根拠

日本M&Aセンター。 決算説明資料に、小規模案件をグループ会社へ紹介する運用を書いています。報酬は負債を含む時価総資産が基準で、着手金は100万円以上です。中間金の有無は、報酬表に書いていません。

全印工連の窓口。 全印工連のページは、運営を山田ビジネスコンサルティングと書いています。同社は2018年に山田コンサルティンググループに合併しました。同グループの報酬体系のページには「報酬体系を明示することができません」とあります。登録DB(2026年4月)の最低報酬は2,500万円です。

日本財務戦略センター。 印刷のページの事例2件の見出しは、成約事例を一般化した匿名の例です。残る1件は「業界平均モデル」です。「中堅印刷会社は機械の70-80%がリース」には、出典がありません。リースの論点の説明は具体的なので、私は質問を作るのに使います。

日本創発グループ。 決算説明資料に「新規参画会社と合併再編」と書き、営業所や事業の統合の例を挙げています。売り手向けのM&Aの窓口ページはありません。

印刷業M&A総合センター。 2025年1月のプレスリリースで、売り手の手数料0円の窓口として開設されました。2026年10月7日に見ると、そのドメインは「プリントコミック」というサイトでした。このため、今回は掲載していません。

第一候補の確認点。 M&Aサクシードの印刷の公開事例は、2020年のアヤトの1件です。売り手は、金融機関に紹介されたコンサルティング会社を通じて出会いました。買い手からも成功報酬を受け取ります。法人限定で、登録には審査があります。登録DB(2026年10月確認)では、不適切な買い手の情報共有の仕組みに加盟していません。私は、買い手の審査方法を面談で聞きます。

判断の根拠にした実態データ

判断根拠にしたデータ
1億〜5億円は最低報酬の差が効く各社の公式料金表を当サイトの式で試算
5億円で4社の報酬が並ぶ同じ式で5億円を試算
負債2億円で、着手金を除き800万円の差日本M&Aセンターの報酬表
公開成約85件中54件で買い手が印刷会社日本M&Aセンターの成約一覧(当サイト集計)
16件中13件の買い手が同業M&Aキャピタルパートナーズの成約実績
同業は工場をまとめることがある船井総研グループの事例
リースは原則中途解約できないリース事業協会の参考契約書の要約
抵当権は備え付けた自社の機械に及ぶ工場抵当法 第2条
原動機付き印刷機は騒音の特定施設騒音規制法施行令 別表第一
乾燥施設はVOCの届出の対象大気汚染防止法施行令 別表第一の二
事業譲渡でPマークは原則移らないJIPDECの合併・分社の手続き
廃業230件で年度の最多帝国データバンク(2025年度)
事業所の61%が9人以下2025年経済構造実態調査

手数料は税別、手取りは手数料を税込で差し引いた試算です。手取りは、個人の株主が株式を売り、20.315%の税率がかかる前提です。取得費は、今回売る株式に対応する1,000万円で計算しました。事業譲渡と個人事業には当てはまりません。日本M&Aセンターの報酬は、負債を含む時価総資産を「株式の譲渡額+負債」として試算しました。経済構造実態調査の数字は、個人経営を除く事業所の集計です。

売却額を選ぶ

計算の前提株式の譲渡額を入れ、各社の料金表の基準(オーナー受取額・総資産など)には負債0として当てはめています。「前提つきの試算」は、着手金が資産額で変わるなどの前提を置いた金額で、前提は各社のページにあります。評価の順番ではありません。

金額の見当がつかない → 相談先診断

手数料の目安が安い順(税別)総額を試算できる5社。評価の順位ではありません

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※は前提つきの試算です(前提は各社のページ)。事業承継・引継ぎ支援センターは相談無料(紹介された民間機関を使う場合は、その機関の手数料)。

1億円なら:最低報酬の差がそのまま手数料の差になります。大手仲介だと譲渡額の2〜2.5割です。費用を抑えたいなら最低報酬を、実績を重視するなら同じ業態の公開事例を比べてください。

負債を含む資産の総額に料率を掛ける会社は、料率で計算した額が最低報酬を超える範囲で、借入金などの分だけ高くなります。負債も入れて計算する/相談先診断で絞る

13の相談先を公式情報で調査(確認 2026-10-07)。現在、掲載会社から広告料・紹介料は受け取っていません。

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売り手側のFA・会計事務所系・金融機関1社

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自社が買い手の会社(仲介ではない)1社

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